就活したよ

就職活動を本格的に始めたのは1月で、就活が終わったのは8月下旬、30社受けて3社内定貰って終わった。理系大学院生。

就活が終わって今の感情を記録しておきたいから、発信したいから、今このタイミングで書く。自分、というか人は往々にして後から色々な経験を振り返ってみると“やっぱり”「楽しかったなぁ」だとか「しんどかったなぁ」だとかどこか他人事のように感想を作り上げてしまうと思っている。だからこそ今なのである。それ故に来年再来年にこのブログを見たら(消していなかったら)「自分は当時青かったな〜」となるのは間違いないと思う。でも仕方ない。

取り敢えずこの記事のメインは就活をやって感じたありのままの感想と、いち大学生が(大学院生が)感じた社会に対する考えである。だから「それは働いてみないと分からないだろお前」みたいに突っ込まれる点は大いにある。そこは「コイツ分かってねぇな」というより「今の学生はそう感じてるんだな」なんて捉え方をしていただければ嬉しい。これから就活する人も是非見て欲しい。

 

スーツ、自己アピール、面接など

誰でもそう思う。なんとなくしんどいって思う。まずスーツってのがしんどい。後は髪をセットして髭剃って…「御社の魅力は…」「本日はお時間をいただき誠にありがとうございます…」就活中にこういう文言を暗記したりしていて、はっきり言って最初は本当に辛かった。就活やめたすぎて博士課程に行こうとも思った。でもそもそもそんな逃げで大学にいつづけるのはあり得ない(個人の感想です)。だから仕方がない、全てを押し殺して就活を始めた。でも面接をしていくうちに気づく。「私服OK?逆にスーツ以外ってどんな服で行けばいいんだろう。」まず前提として人を評価するってのは原理的に無理なんですよね。ESと面接で全体を通して順位をつけることなんか絶対無理なんですよ。もちろん少人数を相対的であれば可能ですけど。でもその基準なんて曖昧で人によって時期によって変わる。恐らくね、というか人を評価するって凄く難しくて、でもそんなにコストかけてられないんすよ。一人に対して数時間話してそこから一緒にご飯食べて夜通し語り合う。それぐらいすればある程度その人のことは分かりますけど、それでも「分かり始めてきた」ぐらいにしかなりません。でもそんなことやってられないから、効率的に人を判断するしかなくて、仕事に繋がる自己アピールとか志望動機を聞く“しか”ないんですよ。多分ね。そういう意味でガクチカと自己アピールは最適だと思う。残念なことにね。人事もアホじゃないから分かってる、もしかしたら慣れてしまって何も感じなくなってる可能性は否定出来ないけれど、「これだけで判断出来ないよなぁ、でも判断するしかないよなぁ」(偏見に基づく想像)ぐらいは思ってるはずだと思うよ。だからスーツも同じで、世の中の資格を全て持ってても面接でドラァグクイーンみたいな衣装着て来る奴なんか取るわけない。でも最低限の格好は人それぞれだし…だからスーツなんだね。でも正しくはスーツ“しか”ないんだね。

まとめると、就活を始める前の大学生が思う就活の気持ち悪さってのは、そこまで悪意のある理由からじゃないってこと。人事も就活側も効率的にかつ公平にするために仕方なくやっている面が大きいと少なくとも自分は感じた。

 

フォーマルな話ついで

グループ面接で、私服OKで自分だけ私服で参加したことがあったけれど、それは別にスーツ着なくて良いだろうと思う。さっき最低限の格好は人それぞれだと言ったけど20数年生きてきて最低限の格好が分からない人間なんかいないし、私服で良いなら私服でいいんだよ。あくまでスーツを着る理由において最低限の格好が問題になるわけで。逆にそれで落とされるならそれまでの会社。

 

就活の全体的な感想

少し前置きが長くなりすぎたけれど、まず就活はどうだったのかと問われれば今は「しんどかったな、でももう少しやりたい」である。就活は本当にしんどいけど、内定を貰えたら親であったり教授でもないちゃんとした企業の大人から認められたという嬉しさを感じられる。それは結構デカい。就活をやっていて得られたものの中で一番かも知れない。個人的に自分は自分自身に自信がなくて、少し個性的だと思っているその節も単なる社会不適合者的な性格の言い換えでしかないと感じていた。実家暮らしの学問で生きてきた自分にとってはスーツを着たおじさんに認められる経験は本当にデカい。人生という観点で。

 

逆に内定がない時期はどうか?

端的に言えば死のうと思った。30社のうち最初17社くらいは最高でも二次面接ぐらいの結果で、本当に思ってはいけないことだけれど、とんでもない災害が起こって人生リセットしたいぐらいの気持ちでいた。落とす人事を憎むパワーもなかった。本当に使えない人間だと思われて人格否定をされた気持ちになった。

 

落ちるって普通?

就活サイトとか見てるとメガバンクと総合商社に複数内定もらってる就活生とかいるけど、そんな奴あてにすんな。新卒は毎年平均して12〜3社受けて1〜2社内定貰う程度。あとこれは平均だから30社受けて内定1社も貰えない奴もいる。大学卒業するのに平均の意味も分からないから20社受けて内定貰えないだけで外れ値だと決め付けて鬱になる奴がいるが、というか俺だが、そもそも受験じゃねぇんだから。これさえやれば受かるなんか絶対ないんだよ。ESと面接はしっかり項目で整理されて効果的な質問で本質を見抜いている風に振る舞ってるけど、最終は人事の体調とか気分にも依るに決まってるでしょう。だから言ってしまうと新卒なんかプレゼン能力で決まるんですよ。かと言って落ちたからプレゼン能力がないわけでもない、何百人も受けるんだからそりゃ大多数は落ちるよ。人間的なことじゃなくて統計的な問題です。後は合わないとか、まぁ曖昧な言葉ではあるけれどそういうのも大きいと思うよ。自分も最終面接で貴方のような人は是非弊社で働いて頂きたいと言われたのに落ちたからね。いや…これは合わないというか意味不明だな。なんか思い出して悲しくなってきた。

 

就活鬱

大学のメンタルヘルスケア相談窓口に電話しよう。後は取り敢えず内定さえ出たらメンタル持ち直すと思うから諦めずにESを出そう、たとえ卒業する年の前年の12月であっても。つい最近6月(サマーインターンが始まる時期?)に後輩が「就活出遅れた終わりだ〜」と言っていて、まぁ……そんな奴もいるけれど。やっぱり腐って就活辞めて既卒になった人間がまた就活を頑張れるとは個人的に思わない。それなら第二新卒で改めて就活した方が百倍良い。鬱を改善する方法は死ぬか人と話すかだと思っているから、死ぬのが嫌なら色々な人に相談してやっていくしかないと思う。いや別に既卒になって、いや…退学してもいくらでもなんとかなると思う。大切なのは人と相談してモヤモヤした気持ちを消すこと。同級生から遅れても自分が自分なりに生きることが出来たら良いじゃんと思えるかどうか。同級生と年収が3倍違っていても全然良いと思えるかどうか。それは本当に難しいと思う。でも話すことでそういう気持ちをなくせるかも知れないし、なくさずに悔しさに変えられるかもしれないし、なくせなくて辛いままでもやっていける別の強さを持てるかも知れない。でもこうした人生のパスと考え方の設計は一人では到底叶わない。まず他人と話すこと。話せる人を作ること。親と教授が最悪で身の周りに頼る大人がいなくても、大学の相談窓口や、今ならSNSで助けを求めてみても良いかも知れない。とにかくハグワール・D・サウロも「この世に生まれて一人ぼっちなんてことは絶対にないんだで、デレシシ」とか言ってたよね。所詮大学生程度の年齢で誰も助けてくれる人間がいないなんてそんなの…ないと思う。電話ぐらい誰でも出来るよね…だからそんな孤独な人間はいないということで…。少なくとも日本ではいないだろと思う。

 

内定鬱からの入社鬱、ブラック企業

内定で鬱になる人もいれば、入社してからも鬱になる人が沢山いるわけですね。やっぱりブラック企業に入りたくないというのは新卒の一番大きな悩みの一つだと思います。と、思ってたんですよ!違いますね。少なくとも大多数に適用出来る企業選びの軸ではない。なんで毎年新卒が自殺したり「企業名 ブラック」で調べたらとんでもないことが書かれている企業に入ろうとするのか。そりゃ50社受けて内定が無いなんて状況なら承諾せざるを得ないですけど、最初から第一志望でそこを狙うか〜…。収入は確かに良いかも知れないけれどいわゆるブラックで有名な企業と同等に稼げてホワイトな企業なんかいくらでもあるでしょ。新卒が自殺した企業に何故入る。有名だから?

 

確証バイアス

ただこんなこと言ってるけどブラック企業でも入社したいという気持ちはよーく分かる。誰もが知ってる企業で有名だもんね。逆にベンチャーだったらやりたいこと出来るもんね。ある程度の大学なら同級生の1人や2人有名なところに入るでしょう。「俺より研究も勉強も出来ないのに…!」と思うような奴が大手に入るのはよくあることだと思います。だからと言ってこうした嫉妬や悔しさや功名心そのものがブラック企業に入る理由の全ての説明にはならない。やっぱり企業サイトや口コミで良い評価を過大評価するからというのが一番大きいと思う。「仮に新卒が自殺してても自分の部署は違うだろう」「今回の事件で法令遵守意識が高まっただろう」「最初頑張れば後は年功序列で40〜50代で年収1000万は行ける」軽い気持ちでエントリーしてもそこを面接で受けて企業研究をしていく内に肯定的な評価を大きく評価して、否定的な評価に関しては単なる口コミだし「その人がそう思っただけなんだろう」といったような調べ方をし始める。いわゆる確証バイアスという「自分の考えを確証する方向で、新しい証拠を探し、解釈しようとする傾向」のことで…これは人間としての心理学的な部分がそうさせてる。もちろん全員が偏向的な調べ方をするわけじゃ無いけれど、明らかにそういう傾向は色々な実験や検証で認められてる。IQが高かったり教育水準の高い人間にそういった傾向が強いらしい。でもそれが悪いことなんかじゃない。悪い部分に目を瞑って入社してもギャップに苦しむ可能性があるよ、という極々当たり前のこと。悪い評価ばかり気にするのは話にならないけれど、良い評価ばかり見ていても真に企業選びをしているとは自分は思えない。20歳超えたら生き方に自信がついたり言葉の使い方も上手くなって、自分を説得するのが本当に上手くなる。個人的には後悔が出来なくなるのが大人の怖いところだと思っていて、何十年も働いた場所、仮に40歳で平均年収をずっと下回っている年収であっても今までの人生を否定して「俺って何やってるんだろう」なんてなかなか思えないと思いますよ。よくあるTwitter漫画で実家暮らしニートが自分の人生を振り返って「俺って何やってるんだろう」なんて言ってますけど、現状を変えたいという気持ちがあるだけ素晴らしいと思いますけどね。YouTubeで引きこもりのドキュメンタリー見ててもそんな人見たことないです。大抵「これからやるから」「今考えてるから」「このままでも良いと思ってる」です。「もうダメだ」なんて言ってる人見たことないですよ。まぁどちらも沢山いるんでしょうけどね。話を戻すと企業選びの際には良い面悪い面を見て、悪い面を軽く扱っていないかとか少し自分自身の考え方におけるメタ的な思考をすることですね。後は内定を実際に貰って働くまでのイメージをしてみる。一人暮らしをするときにその初任給と福利厚生で大丈夫なのか?残業はみなしなのか?有給が取れる環境作りをしてるって具体的には?自分は口コミだけじゃなくて不安なことがあれば人事に図々しく聞きました。説明会だけで入社を決めるなんて絶対にあり得ないからです。仮に残業平均が50時間の企業が説明会で残業の話をするわけがない。派遣会社が説明会で派遣という言葉を使うわけがない。だから悪い面も見直すと同時にその悪い面と向き合って実際に人事に確認したりサイトでは確認出来ない事実を聞くべきです。離職率とかね。それでも散々調べた上でブラック企業(と言われている企業)に入りたいなら入るべきだと思います。こうした前持っての情報収集が出来ていないのにブラック企業に入りたくない人は確証バイアスの餌食になりますということです。

 

 

情報収集これはないだろ

この記事を書こうと思ったきっかけになったことでもあるんだけど、本当に就活サイトが酷過ぎる。新卒が検索しそうなワードで検索したら3〜4ページはどれも似た様な「Fランから10社内定したエンジニアが教える!」「業界就職偏差値ランキング!」「絶対にやってはいけないこと5選!」そして最後にはエージェントの紹介ね。就活やってて一番イライラしたのはこれ。流石に酷過ぎる。Googleだとサジェストが汚染されると思ってプライベートタブで開いてもほとんど同じ。なんでウェブサイトで稼げます!みたいな連中の言葉ばかり見なきゃならないんだよ。Twitterもそう。検索しても出てくるのは140文字ギリギリのツイート、アカウントを見てみるとプロフに「稼げる秘密教えます」こんなアカウントが冗談抜きで9割。しまいには「内定なくて死にたいです…」というツイートに対して「プロフ見て興味をお持ちになれば一度お話ししませんか?」

正直な話をすれば、もしかしたら凄く良い人で就活の相談にも乗ってくれて悩みを解消してくれるかもしれない。でもこういう善意を装って近づいてくる人間は学校で学ばないと思うけどね、基本的に信用しちゃダメなんだよ。Webサイトもかなりタメになることが書いてあったりもする、でもよく見たらただの経験談であったり調べたら出る様な情報をダラダラと書いているのがまぁ多い。データも出典がないのが殆どだし、中途半端にWeb制作スキルだけ持っているけど発信する際のリテラシーは皆無のものばかり。綺麗なレイアウトで見かけ合理的な理由を書いているという点で信じてしまうかもしれないけれど、基本話半分、いや1/8で聞くべきだと思うよ。こんなもの見て一喜一憂するぐらいなら企業のホームページや口コミ見てた方が良いですよ。とにかくこの件で俺はTwitterのプロフに6行もの肩書を載せて毎回140文字ギリギリまで自己啓発くさいビジネス金言を呟いているアカウントへの嫌悪感が臨界点を突破したということです。ドラゴン桜の一巻で何で勉強するのかという問いに対して「騙されないため」という回答をしていたのを思い出しました。まさに就職活動ですよ。もちろん今言ったアカウントとかWebページが悪いわけじゃない。ただネットの有象無象、玉石混合の情報に対しては話半分で、無償で近づいてくる人間には警戒心を持って接しないといつか洒落にならないことになるぞということですね。こういうことは社会人になってからだと思ってましたけど、就活でバリバリ感じましたね。

 

内定ブルー

内定を貰った後に他の企業が良かったんじゃないかと思ってしまう現象。これは仕方ない。これまで言ったことと真反対のことを言うけれど、面接までしっかりプロズコンズを見極めて進んだという自信があるなら、もう良い情報だけ見ちゃえよと思う。残業が多くても「辛かったらやめても良いんだ、でも残業は業界平均より低いし、若いうちは少し働いて稼ぐのも悪くないかな…」なんて思ったりしちゃえよ。面接まで確証バイアスに支配された人間がこんなことをしても良いとは到底思わないけれど、人間としての傾向を自覚したり、自分が内定を貰うまで、あるいは貰った後も色々な情報を加味してそこに決めたのなら、もうどうしようもないんだから否定的な情報はシャットダウンして新生活にワクワクに身を任せてみろよ。仕事でミスしても死刑になる訳じゃなし、何となくでやってみようぜ。所詮大学や大学院なんぞ数年だし青春の大切な時期がどうこう言うけれど就職してから死ぬまでの期間がどんだけ長いと思ってんだよ。それに新卒で入った会社で人生が全て決まる訳ねぇだろ。同期に就活が遅れてもいい、年収が低くてもいい。

勉強ばかりの生活が終われば働くばかりの生活になる?違う!もっと自由になれよ。昨今の日本を覆う嫌なニュース、炎上、少子化、戦争、政治諸々の曇り空に自分の人生を重ねるな。誰だって不安なんだ、でも来年からは新しいお前だけの生活が始まるんだ。ほら、ワクワクしていいんだぜ。